ドイツの国民性

(前略) ところが西洋の社会を見ると、日本とは反対に上流社会即ち紳士なる者は皆立派なる人たちであるが、下流社会即ち一般の人民は皆腐敗して居る。(中略) 独逸はさすがに今日勃興しつつある勢は盛で、この国の下等社会は他国ほど腐敗せずに居る。(後略)

正岡子規『病床六尺』(六月四日/明治三十五年)

欧州に十年ばかり居て帰って来た人の話として紹介。上流社会と下流社会との比較で国を見た場合の欧州各国の感想。このなかで(日露戦争直前、ロマノフ王朝末期の)ロシアについては「露西亜はえらい」と書いてあるのですが、どっちの意味で解釈すべきなんでしょうかね。