望遠鏡的博愛

『パンチ』素描集―19世紀のロンドン (岩波文庫)』を読んでいて、気が利いた表現と思ったのでメモ。英語では、Telescopic philanthropy。もとはディケンズの『荒涼館』の第四章の題で、家事や育児をほったらかしにしてアフリカ原住民の救済・教化事業に熱中しているジェリビー夫人を言い表したもの。『パンチ』の諷刺画では、大英帝国の象徴である女神ブリタニアが望遠鏡でアフリカを覗いているが、その裾を浮浪児がしがみついて訴えている、という構図。

ある種のボランティア活動に対する違和感を、うまく言い表せてもらったような。そういえば、あの事件からそろそろ一年ですね。