購入したもの

能・文楽・歌舞伎 (講談社学術文庫)
ドナルド・キーン(著)、吉田健一、松宮史朗(翻訳)『能・文楽・歌舞伎』(講談社学術文庫)
先日購入した杉山其日庵浄瑠璃素人講釈〈上〉 (岩波文庫)』、地の文を含めて、その文章の書きっぷりというよりも、語りっぷりが読んでいて楽しいのですが、このあたりの知識を得ようかと思って購入。こちらは、ほとんどこの手の知識が無いですし、いっそのこと外国人から見た場合の方が分かりやすいかも、といった狙いがあるのですが。

かつてラフカディオ・ハーンの日本論や伝統文化研究を読みあさったときに、不思議な感動を味わったことを覚えている。われわれ戦後生まれの世代にとって-あるいは、すでにして異星人化した世代にとって、明治期の日本は、見るもの聞くもの、すべてが目新しく、しかも異様な印象の集積にしか見えなかったからだ。そして逆に、異国日本の奇妙な習俗文化にいちいち驚いたり、感動したり、違和感に襲われるハーンのほうにこそ、我々は親近感を感じてしまうのである。いいかえれば、ハーンの眼はわれわれ戦後日本人の眼だ。その戦後日本人の眼が奇跡的にも一八〇〇年代後半の日本へそのまんま持ちこまれたというのが、たぶん、われわれのラフカディオ・ハーン体験の本質なのだ。
荒俣宏「明治期異人、「破邪神霊」の要を論ず」『本朝幻想文学縁起』(集英社文庫)より

まぁ、著者がドナルド・キーンですから、この人なんでこんなに詳しいんだ?といった感想がオチになるかな?