日本の夜(と)霧 (1)

matsutoshi2005-01-29

1/27の続き*1
夜と霧 新版
上の『夜と霧』(みすず書房)は新版ですが、旧版『夜と霧―ドイツ強制収容所の体験記録』の初版発行年度を検索で調べてみると、1956年と1961年の二つに分かれています。面白いなと思ったのは、1956年説のWebページには以下のAmazonのレビューの一部がそのまんま使われているページが多いこと。

ユダヤ精神分析学者がみずからのナチス強制収容所体験をつづった本書は、わが国でも1956年の初版以来、すでに古典として読みつがれている。

1961年説を採用しているページは、旧版を個人所蔵している方が多いように見えます。ところで、アラン・レネ監督作品の『夜と霧』、製作年度は1955年ですがショッキングな映像が多いので、日本公開は1961年にずれ込んだとのことです。

アラン・レネ監督『夜と霧』
夜と霧 [DVD]
↓『夜と霧』のパンフレット紹介のページ
http://www.geocities.jp/pxc01462/old/panph.html

つまり、関係するものの前後関係は以下のようになります。

1947年:ヴィクトール・E・フランクル強制収容所における一心理学者の体験』出版
1955年:アラン・レネ『夜と霧』公開
1956年:みすず書房『夜と霧』翻訳出版(?)
1961年:アラン・レネ『夜と霧』日本公開;みすず書房『夜と霧』翻訳出版(?)

あくまでも邪推ですが、

  • (その1)1956年に初版を出版するも、アラン・レネの映画が上映できなかったので話題にならず。映画が日本公開されたとき(1961年)に再度初版として出版。みすず書房のドル箱になる。
  • (その2)Amazonのレビューを書いた人が、アラン・レネ『夜と霧』の日本公開のズレを知らずに、そのまんま製作年度をもとに記事を書いてしまい、その間違いが広まった。

実際のところ、どうなんでしょう?